建設費用:黒部ダム

黒部ダム建設に投じた巨額の費用

黒部ダムを建設するにあたってはかなりの費用がかかったことが分かっています。
この費用を捻出できたのは世界銀行からインパクトローンの借款ができたということがキーとなっていて、これは日本でははじめての出来事だったようです。

この借款については政府の保証があるなか、世界銀行より日本開発銀行が借り入れをしてそのお金を関西電気に貸したという背景があったようです。

世界銀行は貸す対象となるものの技術調査というものを常に行っていて、もちろん黒四に対しても現地調査やダムの設計に関しての検討なども技術顧問団を派遣して行ったようです。

この調査結果で、世界銀行側はダムの高さを150メートルに引き下げるように黒四側に勧告したそうです。
その背景にあったことですが、調査が行われた前の年にあたる昭和34年に南フランスにあるマルパッセダムで大出水によるダム崩壊事故が起きていて死者行方不明者合わせて500人にも登ったとして、この大惨事を危惧しての勧告だったようです。

その後、当初の設計内容のままで進められるまで2年もの間、顧問団と関西電力の間で話し合いがあったようです。
しかし、この設計が認められるまではいかに黒部ダムが安全であるかという確証を得なければならなかったので、関西電力は大変な労力だったろうと思います。

ただすべてが設計通りに進んだ訳ではなく、アーチの左右の肩の部分を削ぎ落とすことにして、代わりに重力式のウイングダムをつけることで解決することになったそうです。